″作りおきおかず″でらくらくパン食
おいしい簡単ヘルシーパン食 NO.18(2011年1月号)
このコーナーでは、パンを主食としたメニューについてご紹介していますが、より実用性のあるパン食を提案するため、当研究所の製パン技術教育100日コースの受講生を対象に実施している「パン食写真調査」から、実際にパンと一緒に食べられているおかずに焦点をあて、これからのパン食提案について再考します。
家庭でのパン食においては、食パン・バターロールなどの食事パンが多く利用されており、朝食では主菜(ハムエッグ、ウインナーなど)・副菜(レタス、トマトなどの生野菜、ポテトサラダ)といった定番メニュー(写真1)が多く見られます。夕食時にはスープ、シチューなどの煮込み系といった凝った料理が登場しています。
<写真1の献立> | |
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エネルギー | 427 kcal |
たんぱく質 | 19.0 g |
脂 質 | 21.6 g |
炭水化物 | 38.1 g |
ナトリウム | 928 mg |
また、調査により集まったパン食写真の中には飲み物、サラダ、あるいはヨーグルトだけをパンと一緒にというシンプルな食べ方も多く見受けられました。このような食事をたまにするという場合は問題ありませんが、頻度が多くなると1食としてのボリュームも少ないため腹持ちが悪く、カロリー、そして、その他のカラダに必要な栄養素も不足してしまいます。写真2のパン食も一見、野菜がとれてヘルシーなパン食に見えますが、栄養成分に示すように300カロリーも届かず、20-30代男性の1食当りの半分のカロリーしかとれていません。
<写真2の献立> | |
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エネルギー | 289 kcal |
たんぱく質 | 10.4 g |
脂 質 | 10.7 g |
炭水化物 | 38.6 g |
ナトリウム | 478 mg |
以上の事に加えて、調査の対象となる受講生のアンケートから"簡単に作れるパン食"、"おかずのバリエーションがあるパン食"などへのニーズが高いことから、パンの色んな楽しみ方を知るためにも、そして、パンを食べてもらう環境をつくるという意味でも、美味しい献立プラスαの部分として『作りおきおかず』をおすすめします。『作りおきおかず』とは、ベースとなるおかずを週末など時間がある時にまとめて調理、小分けにして冷蔵・冷凍保存しておくことで、以下のメリットがあります。
・ 忙しい日などに『作りおきおかず』を活用することで調理の時短になる
・ 野菜・調味料を加えることで『作りおきおかず』のバリエーションが広がる
・ 『作りおきおかず』1品があることで、栄養バランスもとりやすくなる
今月は、作りおきおかず第1弾として"豚ひき肉のスタミナ炒め"をご紹介し、次回からこのおかずを活用したパン食メニューを提案します。
『作りおきおかず』①豚ひき肉のスタミナ炒め
玉ねぎやニンニクにあるニオイ成分である硫化アリルがビタミンB1の吸収を助けるので、ビタミンB1が豊富な豚肉、ロースハムと一緒に調理することと、疲労回復に効果があります。豚ひき肉の同量の野菜を一緒に炒めておけば、効率的に野菜を摂ることができます。
材料:4回分(2人前/回)
豚ひき肉 | 600g |
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玉ねぎ | 中2個 |
にんじん | 1本 |
植物油 | 大さじ1 |
おろしニンニク | 小さじ1 |
塩 | 小さじ1/3 |
黒胡椒 | 適宜 |
*玉ねぎは炒めることで出てくる甘みがあるので必須野菜ですが、他の野菜については冷蔵庫に残っている野菜も入れてもいいと思います。
作り方
- 玉ねぎとにんじんは粗めのみじん切りにします。
- フライパンに植物油とおろしニンニクを入れて弱火にかけ、香りが上がってきたら、1の野菜を加えてしんなりするまで炒めます。
- 2のフライパンに豚挽肉を加えて、塩と黒胡椒を調味して炒め合わせたら火を止めます。
<冷凍方法>
出来上がった『作りおきおかず』は冷ましてから1回分の使いやすい量で袋に小分けして平らにして空気を抜いて閉じてから、冷凍用の保存袋に入れて冷凍庫で保存します。
*注意:冷凍中でも、酸化や乾燥により品質が落ちますので1カ月以内に使えるように日付をメモしておくと便利です。