安全性Q&A
いつも食べているパンの安全性についてご存知ですか?
最近いろいろ気にしているけど、ちょっと難しそう!?なんて思っていませんか。
そんな気になる疑問にお答えします。
Q3 イーストフードとは?
パン作りのポイントは、「発酵」にあります。パンの生地を発酵させるためには、イースト(酵母)が欠かせません。イーストは適当な水分と栄養分があり、27~36℃の温度で管理すれば、よく働きます。
イーストフードとは、イーストの栄養源となって、発酵を助けるための食品添加物です。このイーストフードにより、イーストの働きが活性化され、パンの風味や香り、食感、ボリューム感、ソフトさなどが向上し、安定して品質の良いパンを作ることが可能になります。
イーストフードとして用いられる食品添加物は、具体的には塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化マグネシウムなど食品衛生法によって定められた14種類の無機塩です。これらの無機塩類を配合して使用するので、個々の物質名ではなく、「イーストフード」という一括名で表示することが認められています。
イーストとはどんなもの?
ところで、イーストとは「酵母」のことです。酵母は、自然界に広く存在しています。一般に、純粋培養されたものが、「パン酵母」すなわちイーストとして使用されています。
イーストは、1個1個は非常に小さく、米粒の800分の1ほどしかありません。しかし、小さくても生きており、からだの表面から糖などの栄養分を吸収し、酸素があれば呼吸をして、繁殖します。酸素が不足すると、糖をアルコールと炭酸ガスに分解します。これが「発酵」です。発酵によって生じた炭酸ガスが、パン生地のなかで無数の気泡となり、パンをふっくらとさせるのです。
イーストフードの安全性は?
製パン会社で使用しているイーストフードの代表的なものは、塩化アンモニウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウムの3種類に、食品素材として小麦粉、でんぷんなどを混合して製剤化したものです。
塩化アンモニウムは、イーストによって分解され、栄養源としてイーストに利用されます。硫酸カルシウムとリン酸三カルシウムの2種類のカルシウム塩は、栄養強化にも利用されているものです。
これらは、食品衛生法第6条の「指定制度」によって食品添加物としての使用が認められています。また、同法第7条の規定に基づき、食品添加物の摂取量が1日摂取許容量を超えることのないように使用基準が定められています。国際的にも、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会)において、これらの食品添加物の安全性が評価されています。
1日摂取許容量: | ADI(Acceptable Daily Intake)。人が一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康に影響を及ぼさないと判断される量のこと。 体重1kg当たりのmg数で表されます。 |
---|---|
指定制度: | 厚生労働大臣が食品添加物として指定したものだけが使用を認められるという制度。指定に際しては、安全性と有効性の観点から評価が行われています。 |
JECFA: | FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会。FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が協力して設けた国際的な組織で、各国の専門家が集まり、食品添加物の規格や安全性の評価を行っています。 |
最終更新日:2003年3月13日