パンのはなし

おいしさの秘密おいしさの秘密

Q3 水の性質で変わる?

  1. Q1 おいしさの秘密はタンパク質? 
  2. Q2 塩なしのパンは? 
  3. Q3 水の性質で変わる? 
  4. Q4 東西で食パンの好みも違う? 
  5. Q5 パンが大好きな県民は? 

水はパンの基本材料の一つ。小麦粉に水を加えてこねることで弾力のあるグルテン膜ができ、発酵時に発生した炭酸ガスをこの膜が抱き込むことによって生地が膨らみます。パン生地を仕込むときは、まず水でイーストをとき、残りの水で砂糖、食塩などを溶かして小麦粉と合わせます。水は、吸水量と硬度とpHが重要です。同じパンを作るときでも、小麦粉の管理状態や種類によって吸水量が変わります。たとえば、国産小麦粉の吸水量は、55~60%ですが、輸入小麦粉の吸水量は65~70%です。水の量によって生地の硬さが決まります。

水の硬度とは、「水中のカルシウム及びマグネシウム・イオン量を、これに対応する炭酸カルシウムのppmに換算してあらわしたもの」です。つまり、カルシウムやマグネシウムが多くなるほど、ppmが高くなり、硬度の大きい硬水ということになります。パン作りに適しているのは、50~120ppmのやや硬水で、発酵がスムーズに進み、作業性も良く、パンも質の良いものとなります。一方軟水を使うと、グルテンが軟化し、べたつきのある生地になり、湿った重い感じのパンができます。硬水を使うと、グルテンが硬くしまり、生地が切れやすくなります。発酵も遅くなり、パンももろく乾燥しやすくなります。

水のpHは、やや酸性(pH6~7)の水が良く、パン酵母の働きを活発にし、適度に生地をしめます。アルカリ性の水を使うと、パン酵母の活性が損なわれてしまい、発酵が上手く進まずパン生地も膨らまなくなります。酸性の水を使うと、グルテンが溶け、生地が切れやすくなります。

水の性質とその対策

水の性質 対策
硬度 軟水 ・食塩を増やす
・硫酸カルシウム、炭酸カルシウムを増やす
硬水 ・イースト(パン酵母)を増やす
・吸水を増やす
・生地温度、発酵室温度を上げる
pH 酸性 ・仕込み水をイオン交換樹脂に通して、酸を除く
アルカリ性 ・酢を添加する